天安門事件と一夫多妻のおじさん
こんにちは。
イエティ探索家のye_tiです。
6月になりました。なんか中国人は普通の日常に戻ったようで、僕もヒマラヤの麓の草原まで移動することが許されそうです。来る前に公安に連絡するように、と言われていますが。
というわけで、近いうちに成都を出ることになります。まだ買い出しとかの準備もあるし、4日は天安門事件の日なので、それまではおとなしくしています。うかつに動くと面倒に巻き込まれる可能性があります。
天安門事件で思い出したことがあります。
東チベットのバルカムという街で、不思議な中国人のおじさんに出会いました。おじさんは家電の修理店みたいなのをしていて、かぶっている帽子を通行人の目の前に唐突に差し出してみせる、という手法で、帽子のなかに隠した違法アダルトDVDを販売していました。僕は買わないけど、おじさんの販売方法がおもしろくて、バルカムに行くと必ずおじさんの店の前を歩くようにしていました。
ある時、おじさんに陽気に呼びかけられて、僕も気まぐれで立ち止まりました。僕が外人だとわかると、おじさんの目の色が変わって、「89年に北京にいたんだ。大学生だった」と言いました。
当時の中国で大学に行けたということは、かなりのインテリで、そのまま行けば超エリートだったはずです。それが、今も山奥の異民族の街で、狂人のふりをして暮らしている。僕は天安門事件について、実際どんなことがあったのか、どんな意味を持つのかを理解しきれていませんが、中国社会では今もタブーだし、参加者は今も日陰者のようです。
おじさんは、僕を店の中に招いて、家族の写真を見せてくれました。故郷の重慶にいる奥さんと子供と、こっちはバルカムの奥さん。?
片方が前の奥さんとかではなくて、ただ奥さんが2人いる、ということでした。社会のルールに従わず、勝手に一夫多妻しているおじさんの力強さ。
政治に人生を狂わされてしまったのかもしれないと、いらぬ心配してしまいましたが、おじさんは陽気に、おじさんなりの人生を歩んでいるようでした。
今日の題名はハリー・ポッターを意識しました。