異民族向けの病院で、中国の弱者ビジネスを見る

こんにちは。

イエティ探索家のye_tiです。

 

今日は朝から、昨夜到着した遊牧民の家族を迎えに行って、彼らに指定された病院に連れて行きました。病院には健康管理(監視)アプリを登録しないと入れなくて、僕はスマートフォンも無いし中国の身分証も無いので、外で待っていました。

突然来て、僕もリサーチが済んでいなかったので、彼ら自身が電話で問い合わせして決めた病院に行ったわけですが、場所を調べて僕はちょっと嫌な予感がしていました。

 

成都にはチベット人街が大小2つあって、大きいほうは武候祠という三国志の史跡のある地区にあります。武候祠には西南民族大学という少数民族向けの大学があって、学生の家族や親戚が病気治療のために都会(成都)に出てきたときに滞在していたのが、だんだんチベット人街のようになっていったそうです。

また、武候祠地区は、成都の地元民が近寄らない、成都でも有数の治安の悪い地区でもあります。都会を知らない田舎者をターゲットにしたスリや詐欺師、物乞いなどが、ものすごくたくさんいます。

どこも汚くて、治安も悪いのですが、都会を知らず中国語もほとんど話せないチベット人には他の選択肢がないために、短期滞在者はほとんどこの地区だけで生活します。成都の他地区と比べて物価が異常に高くて、物もサービスも最低品質です。

武候祠は、社会的弱者を目当てにした悪い中国人と、善人のような顔をして同胞を騙す悪いチベット人がいっぱいの地区です。

 

彼らが決めてきた病院は、案の定その武候祠の近くでした。

武候祠地区はもともと病気治療のために成都に出てきたチベット人が多かったため、各種病院が多いのです。この前、白内障治療の手伝いをしたときにも武候祠の眼科を指定されましたが、僕はあえて成都の中心部にある、地元民相手にやっている病院に連れて行きました。

中国では漢民族以外の地位がとても低いので、異民族向けでやっている病院に、有能な(まともな)医者が居つくことはないと考えたからです。

 

電話では、白斑治療の費用はだいたい500元くらいと言われていたそうですが、現場であらためて費用を聞くと答えてもらえず、今日だけで2000元(3万円くらい)を支払ったそうです。しかも、携帯でグルーポンみたいなので支払うとお得になりますよ、と勧められたそうです。怪しい。

看護士だか手伝いの人だかがずっとついてきて、しゃべり続けて、考える隙を与えてくれなかったそうです。典型的な詐欺師の手法。

他の病院やネット情報は嘘つきが多いから、耳を貸さないように、とも言われたらしい。頭ごなしに誰かを嘘つきと呼ぶのは、本人が嘘つきの場合だけです。

内訳を見ると、750元(1万円強)くらいは薬(大量の謎の漢方を含む)代でした。

 

治療自体は、紫外線を照射するエキシマライトという機械での治療で、これは普通に効果的な治療のようです。

でも、薬代を除いた一回の治療代2万円は妥当なのか?と思って日本の情報をネットで調べたら、一回の治療費は3割負担で1200円程度、10割負担だとしても4000円です。やっぱりぼったくりです。

 

ネット検索も中国語しか無く少数民族情報弱者でもあり、もともと社会的弱者で、しかも病気となると精神的にも弱ってしまいます。

そんな「弱者」専門にビジネスをしている人を、中国ではよく見かけます(僕がチベットまわりによくいるので)。中国人はそれを正しくないとか不愉快だとかは感じないようで、むしろ「ビジネスが上手い」と評価されることさえあります。コロナ禍に乗じて世界中で儲けようとするのも、同じような、中国人的に普通の感覚だと感じます。倫理観というか、世界観が遠すぎます。

 

僕は、この病院はぼったくりだから別の病院も受診して、比べたほうがいい、と言ったけど、セカンドオピニオンみたいな概念も理解してもらえないし、詐欺にあった人が往々にしてそれを認めないように、彼らもなんだか病院を信じています。

一応治療は普通そうだけど、大金を無駄にさせたくない。本人たちが決めたのをどこまで止めるべきなのかわからなくてもどかしいし、弱者ビジネスが憎いです。